小児科ブログ

大学院生のつぶやき

2023/11/29

こんにちは! 医師12年目、大学院3年生の小松です。

現在、小児科に所属しながら医化学講座でお世話になっています。普段は研究室に籠っていますが、時々病棟に検体をもらいにいったり、時には医者であることを思い出して病棟当番をしたりしています。昔は1日の殆どを病棟で過ごした時代もありましたが、今やレアキャラです。

そんな私の研究は「ゲノム解析」。A,T,G,Cという4つの塩基が織りなす生命の神秘とも言うべき現象を、最新鋭の技術を使って紐解き、病気の核心に迫る研究です。ただ、その一日の流れは特別なものではなく、朝起きてラボに行き、パソコンに向かったりピペットマンを持って実験をしたりして、自身の目標としたところまで頑張ったら家に帰っています。端から見たらただその繰り返しの生活ですが、パソコンの向こうに広がる膨大なゲノム情報や1μL(1mlの1/1000)に気を配りながら実験を行う技術、ゲノムが織りなす病態を読み解く論理的思考など、医師として働くだけでは経験し得なかった事に出会えて、毎日充実した日々を過ごしています。

DNAの不思議の一例を挙げると、みなさんは「トランスポゾン」という配列をご存知ですか? ヒトにはSINE (short interspersed nuclear element)、LINE (long interspersed nuclear element)、Aluといった繰り返し配列があり、なんと、これらの配列は直接切れたりコピーを作ったりして遺伝子の中の異なる領域へと移動できるんです! そして、その配列が重要な遺伝子に入ったり、入り込む向きによっては遺伝子から作られる蛋白質自体の構造を変えてしまったりして、病気の原因になってしまいます。しっかりと結合しているように見えるDNAに移動できる領域があるなんて、面白くないですか!? DNAには、WatsonとCrickがNatureにたった1ページで発表した二重らせん構造から始まり、まだまだ不思議がいっぱいです。

研究は一生懸命やってると結構楽しいですよ?
是非一度、研究室を覗きに来てみて下さい!

小児科学講座&医化学講座 小松和幸

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