小児科ブログ
小児外科から初めまして
2026/03/06
小児外科の澤井利夫です。2023年7月に当院へ異動してまいりました。
「小児外科」は、その名の通り、こどもの手術を専門に行う診療科です。小児科(内科)が薬や全身管理を中心に行うのに対し、小児外科は手術が必要な病気を担当します。ただし、こどもの病気すべてを小児外科が担当するわけではありません。心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、皮膚科にはそれぞれに小児の専門があります。疾患によっては境界領域が存在しています。たとえば副耳、耳の前の小さな穴(耳前瘻孔)や頸部瘻孔は耳鼻科ではなく小児外科に紹介されて手術することもあります。泌尿器科についてもどこまでが小児外科の守備範囲かが施設によって多少代わります。停留精巣(精巣が陰のうに下りていない状態)までは小児外科とする病院(当院)や、膀胱尿管逆流症(膀胱の尿が腎臓へ逆流してしまう状態)までを小児外科としたり、腎盂尿管狭窄症(腎臓から膀胱へ尿を送る管が生まれつき狭くなっている状態)までも小児外科で扱ったりする施設もあります。皮膚科領域においても体表の腫瘤やリンパ管腫を小児外科で摘出術や硬化療法をすることがあります。
年齢については、厳密には15歳未満とされますが、概ね中学生以下を対象とします。小児特有の疾患によって小児期から連続して診療している場合には必ずしもその限りではありません。
当科で多い病気は、そけいヘルニア(脱腸)、臍ヘルニア(でべそ)、停留精巣です。そけいヘルニアに対しては腹腔鏡下手術が標準的治療になっており、日本オリジナルのLPEC法(Laparoscopic Percutaneous Extraperitoneal Closure)が広く行われています。小児のそけいヘルニアは、成人と違い腹膜鞘状突起の開存がその原因とされ,腹腔鏡を用いて内鼠径輪のレベルでヘルニア嚢根部(腹膜鞘状突起開存)を腹膜外に結紮閉鎖する手術法がLPEC法です。この手術の特長として「鼠径管を開放しない」「精索剥離を局所しか行わない」などがあり、精管や精巣血管の損傷リスクが減少し、男性不妊のリスクの低下につながります。対側の腹膜鞘状突起開存の有無を確認出来るため、同時に閉鎖を行うことが可能です。また、嵌頓ヘルニアの絞扼腸管を鏡視下で観察できるため、より安全な手術が可能となります。
そのほかに、当科でよく扱う病気として腸重積と虫垂炎があります。腸重積は、まず小児科で高圧浣腸(非観血的腸重積整復術)を試み、それでも治らない場合に小児外科で治療します。多くは再度同じ方法を試みますが、戻らない場合は手術になります(腹腔鏡下に整復する施設もあります)。小児急性虫垂炎も、そけいヘルニア手術と同じようにほぼ全例が腹腔鏡下手術になり、おへそだけから行う方法(単孔式:腹腔鏡補助下虫垂切除術)と、おへそを含めて数か所に小さな穴をあけて行う方法(完全腹腔鏡下虫垂切除術)があります。小児の場合は、大人に比べておへそから虫垂までの距離が近く、腸が比較的動きやすいため、虫垂をおへそまで引き出して手術できることが多いのが特徴です。そのため、小児外科では単孔式(腹腔鏡補助下虫垂切除術)が行われることが多くなっています。この方法ではおへそからの小さな傷だけで手術できることが多く、美容的にとても優れています。また、虫垂切除そのものは臍直下に直視下に行うため腹腔鏡用の道具が限定的となり、通常の手術道具が利用できるためコスト的にも安価になり、技術的にも容易になります。
当院は日本小児血液がん学会から「地域の小児血液がん診療を行う連携病院」に認定されています。したがって静岡県西部の小児血液がん患者さんが紹介されてきます。小児血液がんの治療には、化学療法を安全に行うためのカテーテル留置手術(上大静脈に点滴用の管を入れる手術)を多く施行しています。固形腫瘍(かたまりをつくるタイプのがん)の場合には、脳神経外科や整形外科、泌尿器科、耳鼻科、眼科、小児外科などの適合する専門科で腫瘍生検やリンパ節生検、さらには腫瘍摘出術をすることになります。
新生児外科も小児外科の重要な分野です。低出生体重児にみられる胎便性腸閉塞症や穿孔性腹膜炎、新生児外科疾患である鎖肛(生まれつき肛門がない病気)、ヒルシュスプルング病、腸閉鎖症、食道閉鎖症、胆道閉鎖症、中腸軸捻転(腸捻転)などが対象となっています。NICUと連携して手術前後の管理を行っています。
重症心身障がいのあるお子さんの診療も行っています。対象はその児だけではないのですが飲み込みが難しいお子さんや呼吸の問題があるお子さんには、胃ろう造設術(小児外科担当)や気管切開術(耳鼻科担当)を行っています。胃ろう造設術後には月1回の交換を行っています。
以上のような疾患に対して、当科では年間およそ100例の手術を行っています。
「足の付け根がふくらんでいる」「おへそが出ている」「精巣が触れない」といった、「もしかしたら小児外科疾患?」という、気になる症状がありましたら、どうぞご相談ください。慌てない状況でしたら、火曜日と木曜日が外来診察日になっています。急ぐときはその限りではありません。
「小児外科」は、その名の通り、こどもの手術を専門に行う診療科です。小児科(内科)が薬や全身管理を中心に行うのに対し、小児外科は手術が必要な病気を担当します。ただし、こどもの病気すべてを小児外科が担当するわけではありません。心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、皮膚科にはそれぞれに小児の専門があります。疾患によっては境界領域が存在しています。たとえば副耳、耳の前の小さな穴(耳前瘻孔)や頸部瘻孔は耳鼻科ではなく小児外科に紹介されて手術することもあります。泌尿器科についてもどこまでが小児外科の守備範囲かが施設によって多少代わります。停留精巣(精巣が陰のうに下りていない状態)までは小児外科とする病院(当院)や、膀胱尿管逆流症(膀胱の尿が腎臓へ逆流してしまう状態)までを小児外科としたり、腎盂尿管狭窄症(腎臓から膀胱へ尿を送る管が生まれつき狭くなっている状態)までも小児外科で扱ったりする施設もあります。皮膚科領域においても体表の腫瘤やリンパ管腫を小児外科で摘出術や硬化療法をすることがあります。
年齢については、厳密には15歳未満とされますが、概ね中学生以下を対象とします。小児特有の疾患によって小児期から連続して診療している場合には必ずしもその限りではありません。
当科で多い病気は、そけいヘルニア(脱腸)、臍ヘルニア(でべそ)、停留精巣です。そけいヘルニアに対しては腹腔鏡下手術が標準的治療になっており、日本オリジナルのLPEC法(Laparoscopic Percutaneous Extraperitoneal Closure)が広く行われています。小児のそけいヘルニアは、成人と違い腹膜鞘状突起の開存がその原因とされ,腹腔鏡を用いて内鼠径輪のレベルでヘルニア嚢根部(腹膜鞘状突起開存)を腹膜外に結紮閉鎖する手術法がLPEC法です。この手術の特長として「鼠径管を開放しない」「精索剥離を局所しか行わない」などがあり、精管や精巣血管の損傷リスクが減少し、男性不妊のリスクの低下につながります。対側の腹膜鞘状突起開存の有無を確認出来るため、同時に閉鎖を行うことが可能です。また、嵌頓ヘルニアの絞扼腸管を鏡視下で観察できるため、より安全な手術が可能となります。
そのほかに、当科でよく扱う病気として腸重積と虫垂炎があります。腸重積は、まず小児科で高圧浣腸(非観血的腸重積整復術)を試み、それでも治らない場合に小児外科で治療します。多くは再度同じ方法を試みますが、戻らない場合は手術になります(腹腔鏡下に整復する施設もあります)。小児急性虫垂炎も、そけいヘルニア手術と同じようにほぼ全例が腹腔鏡下手術になり、おへそだけから行う方法(単孔式:腹腔鏡補助下虫垂切除術)と、おへそを含めて数か所に小さな穴をあけて行う方法(完全腹腔鏡下虫垂切除術)があります。小児の場合は、大人に比べておへそから虫垂までの距離が近く、腸が比較的動きやすいため、虫垂をおへそまで引き出して手術できることが多いのが特徴です。そのため、小児外科では単孔式(腹腔鏡補助下虫垂切除術)が行われることが多くなっています。この方法ではおへそからの小さな傷だけで手術できることが多く、美容的にとても優れています。また、虫垂切除そのものは臍直下に直視下に行うため腹腔鏡用の道具が限定的となり、通常の手術道具が利用できるためコスト的にも安価になり、技術的にも容易になります。
当院は日本小児血液がん学会から「地域の小児血液がん診療を行う連携病院」に認定されています。したがって静岡県西部の小児血液がん患者さんが紹介されてきます。小児血液がんの治療には、化学療法を安全に行うためのカテーテル留置手術(上大静脈に点滴用の管を入れる手術)を多く施行しています。固形腫瘍(かたまりをつくるタイプのがん)の場合には、脳神経外科や整形外科、泌尿器科、耳鼻科、眼科、小児外科などの適合する専門科で腫瘍生検やリンパ節生検、さらには腫瘍摘出術をすることになります。
新生児外科も小児外科の重要な分野です。低出生体重児にみられる胎便性腸閉塞症や穿孔性腹膜炎、新生児外科疾患である鎖肛(生まれつき肛門がない病気)、ヒルシュスプルング病、腸閉鎖症、食道閉鎖症、胆道閉鎖症、中腸軸捻転(腸捻転)などが対象となっています。NICUと連携して手術前後の管理を行っています。
重症心身障がいのあるお子さんの診療も行っています。対象はその児だけではないのですが飲み込みが難しいお子さんや呼吸の問題があるお子さんには、胃ろう造設術(小児外科担当)や気管切開術(耳鼻科担当)を行っています。胃ろう造設術後には月1回の交換を行っています。
以上のような疾患に対して、当科では年間およそ100例の手術を行っています。
「足の付け根がふくらんでいる」「おへそが出ている」「精巣が触れない」といった、「もしかしたら小児外科疾患?」という、気になる症状がありましたら、どうぞご相談ください。慌てない状況でしたら、火曜日と木曜日が外来診察日になっています。急ぐときはその限りではありません。
小児外科 澤井利夫




