研究内容

小児血液・腫瘍領域の研究は臨床研究と基礎研究に分かれます。

臨床研究とは患者さんに対象に行う研究です。新しい治療の有効性を検証したり、これまでに治療が行われた患者さんの情報や治療の内容を検証したりして、治療成績の向上につなげていきます。
患者さんの数が少ない小児がんにおいては他の多くの病院と一緒に研究を行う多施設共同臨床研究を行っています。
現在、多くの小児がんの長期生存率は80%を超えてきていますが、このような良好な長期生存率は多施設共同臨床研究の結果得られたものです。
 
  • 日本小児がん研究グループ(JCCG)の実施する多くの多施設共同臨床試験に参加しています。
    具体的には造血器腫瘍(白血病、リンパ腫など)、神経芽腫、肝腫瘍(肝芽腫など)、腎腫瘍(ウィルムス腫瘍など)、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、脳腫瘍(髄芽腫、上衣腫など)、遺伝性腫瘍(リ・フラウメニ症候群)を対象として、2021年12月現在、40試験に参加登録が可能です。また、現在計画中の研究の立案にも関わっています。
  • 小児白血病研究会(JACLS)の参加施設でもあり、2008年まで行われたJACLS ALL-02研究のデータを利用した後方視的調査研究に参加しています。また、このような後方視的調査研究の立案も行っています。また、現在計画中の研究の立案にも関わっています。
  • 上記以外にも日本小児血液・がん学会や日本造血・免疫細胞療法学会の臨床研究をはじめ、多くの多施設共同臨床研究に参加しています。

基礎研究は患者さんなどから得られた細胞を使用して行っています。

  • 小児の白血病細胞のin vitro薬剤感受性試験は本学では1990年代から行っています。再発・難治性の白血病においてはどのような抗悪性腫瘍薬が効果的なのかを知ることができれば、治療の助けになることもあります。また、この研究をもとに遺伝子解析などと組み合わせることで、薬剤耐性化機序や薬剤感受性機序の解明も行っています。
  • JCCGが実施する乳児白血病に対する臨床試験において、in vitro薬剤感受性試験を実施しています。
  • この他に家族性腫瘍の遺伝子解析なども行っており、Li-Fraumeni症候群の家系に関して解析を行いました。